失敗しないための店舗デザインの考え方
店舗コンセプトの確立とデザインの一致が重要
まず重要なポイントは、店舗デザインは店のコンセプトと一致していなければならないということです。飲食店を構えるにしてもレストランや居酒屋、カフェなどいろいろな店があります。出すメニューの種類によってターゲットも異なります。ターゲットが求める雰囲気と異なる店内にすると、違和感、居心地の悪さを感じさせてしまう可能性が高くなります。
そうならないために、最初に店舗コンセプトをどうするかしっかりと練り、納得できるものを確立しましょう。確立した店舗コンセプトに沿って、自分がやりたいことと顧客ニーズを考え合わせて、お客様が楽しみながら店内の雰囲気と提供するサービスに没頭できるデザインに仕立て上げていきます。
例えば、ファミリー層向けにするのであれば、店内は明るい方がいいですし、食材や調理にこだわったメニューをゆっくりと味わってもらいたいのならば、少人数を見込んだ落ち着きのある雰囲気が合っているでしょう。ただし、和食でも創作料理だからあえて現代アート風の斬新な店舗デザインにするといった手法もあります。これも店舗プロデュースの一貫ですから、ギャップが生む新鮮さが支持を得る事例としていくつも見ることができます。いずれにしても、根幹となる店舗コンセプトがしっかりとしていることが必要です。
外観のデザインで店の情報を伝える
内装だけでなく、外観デザインも重要です。街行く人たちは、まず外観を見て雰囲気がよさそうだな、料理もおいしいのかなと興味を持ち、あなたのお店に入ろうとするのです。
その意味では、外観にも店舗コンセプトを反映させるのが定石となります。例えば、ひと目見てメインメニューがわかるように、外に食材や料理を模した大型のオブジェを設置しているお店があります。間口の広さや入口の状況により、店外に大型オブジェを設置するのは難しい場合は多々あります。しかし、店外にスペースがないのなら、ガラス張りにして、外から中を見せるという方法もあります。例えば、大きな水槽を置いて生きた魚介を見せることで、食材の新鮮さをアピールしたり、調理場面をそのまま見せることで、おいしそうだと思わせるとともに衛生面での安心感を訴えたりということができます。
また、外観で店のコンセプトを伝える手段として、ディスプレイボードや立て看板もよく使われています。その日のおすすめメニューや特典情報、最近のちょっとした話題などを書き込んでいるものを目にすることがあるでしょう。あえて「手書き」にして、手作り感や親しみを感じさせつつ速報性を演出するケースも増えています。
このような手段を用いて人の目を引く、あるいはどういう店か、何を売っているのかを入店前に知ってもらうことは、集客においてとても大切です。
店舗デザインの注意点
一方で、内装や設備に関しては、ただむやみにこだわればいいわけではありません。実用性との両立を図って、不便にならないデザインが求められます。
基本的に、厨房は機能面を重視しましょう。作業手順とそれに基づいた動線をしっかり定めておかなければ、とても使いにくい厨房になってしまいます。厨房が不便だと作業効率が落ち、料理を出す時間が遅れるなどのサービス低下、来店客からの低評価につながります。
内装に凝ると、ついつい付加価値をつけたり、装飾したりしたくなるものです。しかし、店内の存在で最も重要なのはお客様ですから、内装はお客様の快適さを妨げてはいけません。通路が狭いので行き来しにくい、何がどこにあるかわからないなどというお店は失格です。内装も見せるところは見せ、シンプルなところはシンプルにしましょう。
今の時代、インターネット上での情報拡散が集客手段として大いに役立ちます。例えば、店の象徴となるディスプレイを一つ作り、写真撮影用のスペースを設ければ、面白い店だと思われて拡散が期待できます。料理メニューに関しても、特徴的なものならば拡散が狙えるでしょう。ただし、見た目だけが奇をてらったもので、接客姿勢がよくないとか味そのものは平凡だとしたら、厳しい顧客の目はごまかせないでしょう。写真映えするというようなことは、堅実な土台があってこそ生きてくると考えた方がいいのではないでしょうか。
最後に店内デザインでのNGポイントについて記します。考え方としては、お客様に不快な思いをさせるようなものは避ける、ということです。例えば、セクシーな物品は、たとえ芸術性が高いとしても、ファミリー向け店舗では不向きです。また、当然ですが、反社会的なイメージを想起させるようなものもNGです。提示する側がユーモアの範囲だと考えていても、見る側が個人的に不快感を抱くこともありますから、自分の趣味や嗜好(しこう)を反映させる場合は、特に慎重に考える必要があります。ターゲットを狭く絞るのであれば、とがった印象を与えるデザインも悪くないのですが、根底には人を不快にさせないということを忘れないようにしましょう。
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